NAKAさんの写真教室 戻る 中部の花火情報館


ネガフィルムのABC
ネガフィルムの特性については、別テーマ「ネガフィルムvsポジフィルム」で取り上げましたが、その優れた性能を持ったネガであっても、気に入ったプリントに出来ないと意味がありません。同時プリントをいろいろな店に依頼しても、全部色・濃度が違い、同じ店に焼き増しを依頼しても又色が全く同じにはならない。何故といわれると、こうだと言う決め手はなく、実にさまざまな要因が有る。

まず同じ被写体を撮影するとして、色が変わる要因として

機材の問題

カメラ・レンズであるが、カメラ自体はそれほど影響はしない、強いて言えば露出の精度が悪いと、濃度と共に色も変わる。問題はむしろレンズで、カラーバランスが片よって、赤味が強いとか、黄色が強いとか、これは多少であるが色の傾向値として現れる。
フィルムの問題

これの影響は大きい。各メーカーの銘柄毎、大小の差はあるが、色、濃度、彩度、コントラストの違いはある。又同じ銘柄のフィルムでも、製造ロットの違いで乳剤の違いにより色は変わる、又使用有効期間の程度でも劣化による変化は起こる。保存状態が悪いと(特に高温に長時間放置する等)劣化する。
光源の問題
    
これも大きい。いわゆる色温度による変化。日中、朝夕、日陰、電灯、蛍光灯、ストロボ、etc。

処理するラボ側の要因としては

ペーパーの問題 
プリントペーパーは1ロールあたりL判で1800枚程度であるから、頻繁に入れ替える、その都度ロットがかわると、特に乳剤が変わると、色は多少変わる。これをその都度、乳剤変更の自動補正を掛けるが、全く同じ状態になるとは限らない。ペーパーと処理薬品とフィルムの相性により、当然多少なりとも色は変る。が、同じメーカーの薬品、ペーパー、フィルムが揃うほうがいい色が出るかというと、全く関係ない。その店によ適正値の判断でむしろ色は変る。が、その店は基準とする標準ネガは関係メーカーのフィルムであろうから、そこに当然参考として、合わす事にはなろうが、同じメーカーのフィルムでも銘柄によって変るし、基準値の判断は非常に難しい。

フィルム対応の問題  
フィルムはメーカー毎、商品毎、乳剤とオレンジマスクの色が当然違い、商品毎適正補正値を機械に登録はするが、同じ銘柄でも製造ロットにより、又マイナーチェンジにより色は変る。機械はフィルムのバーコードを読み取り、自動補正する事になるがバーコードが読めないフィルムもある。長時間未現像の劣化したフィルム、露出異常のフィルム、機械に登録していない特殊フィルム、発売間もなフィルムで未登録の場合等は手動で判断する事になる。

店毎に色が変わる原因としては
ラボ機械の問題   
ミニラボ店の機械はメーカー系列により、独立ラボ店により、現像・プリント機械は変わり、特に処理液等は変わる。どこがいいとかの問題より、どの機械でもフィルム情報をコンピューターが読み込み、最適な露光量を指示してくれる。が、その指示する数値は必ずしも完璧とはいかない。さまざまな要因で色は変わる、機械状態の変化を補正する為セットアップという作業が必要となり、ラボマンの判断、定期巡回するメーカー担当者の判断,指示により補正値の変更等人的判断によっても色は変わる。その必要な作業をこまめにするかの判断、又一番難しいのが、どの色が正しいかの判断により色は変わる。これは見る側の判断にも左右される。赤みが好きな人、青みが好きな人、濃い目が好きな人、薄めが好きな人、何処に基準を合わすかの総合判断により、必然的に店により色,濃度は変わる。
処理薬品の状態によっても色は変る、薬品の補充量は決まっているので、人為的な調整は出来ないが、種々の要因で変る事もあり、メーカーによる定期チェックを仰ぐが、常に最良の状態であるとは限らない。

処理方法の問題   
ラボ機の処理方法として、大きく2種類がある。一つはオート処理、プリント作業を機械に任せてしまう方法で、大量処理等の合理化による低価格のメリットはある。しかし機械の判断は必ずしも完全には行きにくい、たとへば花火等のプリントも、機械が撮影者の判断を出来るわけはなく、設定により明るく焼いたり、暗く焼いたりもする。また画面上片隅に写った人物だけ綺麗にプリントして欲しいと思っても、機械は全体の露出傾向を判断するから、全体が明るめの場合、濃く焼いて、人物は真っ黒になってしまう。
もう一つの処理は手動プリントで、プリント機械のカラーモニターを見て、機械の判断がおかしい場合に、手動で補正を加える方法で、多くのミニラボ店は、一般的にむしろこちらの方法で処理する。が、人為的判断によってより良い結果が出る場合も多いが、処理するオペレーターの経験、判断にも左右される。

プリントペーパーの裏に色々の印字が印刷されているがその中に色の補正量の数値が有る、YMCD(イエロー、マゼンダ、シアン、濃度)で無補正の場合は通常NNNNになっていると思うが、通常色にはあまり補正するケースは少ないが、それは経営者の判断で、特に濃度の補正量は見るべきで、+3とあれば、機械の判断より3段階濃く焼いた事を意味し、オートではなく手動でプリントしている事を意味する。だだしその数値はその機械の設定条件に対する変化値であり、撮影条件の露出の参考にはならない。が、同じネガ内のプリントに濃淡が出る場合の参考には大いになる。この数値は別に隠す必要もなく、店として焼き増しの依頼時プリントを見せてもらえば,参考データとして同じ条件でプリント
出来る。
ですから店に聞いてもらえれば、どの記号が色情報の補正データーかは、勿論教えてくれる。
花火写真の場合は通常設定だと機械では明るめに焼く傾向にあるので、プリント依頼時に空を暗く、花火の線が細くなように等指示しておけば、その様に焼いてくれます。花火写真をネガでその都度、5〜6本も出す人は、ラボにとって有り難いお客様なのですから。

               ネガプリントを依頼する場合のラボとの付き合い方

店毎に色が変わるのは、以上のようなさまざまな要因があって、すべてのフィルム毎、お客様の希望値に合わして最適な色を出すと言うのは難しく、又色は何が正しいかの判断基準は店によって、又見る人の好みによって大きく変わり、各店が同じ色に揃うことが不可能です。
ではどうするか、プリントはそのフィルムのどの情報を取り出すかによって、色,濃度は大きく変るので、同時プリントのプリントはむしろ参考資料的に考えて、そのプリントを見本として大事な写真を焼き増し依頼時に、色,濃度の希望を指示されれば、期待どうりのプリントが出来る可能性は非常に大きくなる。又同時プリントであっても、その店と意思の疎通が図れれば、最初から自分の好みを店に理解してもらえれば、店はその好みに合わせる事が出来る。
復唱しますが、あらゆる種類のフィルムをあらゆる人の好みに合わせるというのは不可能ですがしかし店はそのフィルムが適正に撮影されたフィルムであれば、どんな色,濃度も出す事が出来る
どこに基準を合わすかで、店毎の傾向値に差が出てくる。  一般的に女性は赤み傾向を好む人が多いし、男性はブルー傾向を好む人が多いし、今までよその店で、そのプリントの色に慣れたは、別の店が正しいと思う色をだしても違和感を感じる事も現実に多い。

濃度の希望も実にさまざまで、私は常連のお客様は希望値がわかるので、初めからそのように焼くが、これが薄め希望の
人と濃い目希望の人に対する濃度差は実に3〜4段はありました。色は比較しないと、その違いは判断しにくい。感覚的な判断というものは実に当てに出来ない。
貴方が正しいと思っている色目は必ずしも正しいとは限らないし、ではどんな希望値で焼きましょうと問い掛けても、色に対する適切な指示が出来る人はまず、ほとんどいない。
         
適切な希望を伝える最善の方法は、とにかく見本がないとダメです。感覚的に同じ色と思っていても比較するとその差は明瞭に違うケースがほとんど。これは印刷業界でも同じ。他店で焼いて気に入った色目があれば、それを見せてこの様にでもいいし、パソコンのプリンターで印刷された物でも、参考に見せた方がベターです。そして色の知識が出来、プリント見本から色の希望値が指示できるようになれば不満もかなり解消されるでしょう。パソコンソフトのカラーバランス調整もYMCの減色法で同じですから、それで色の変化の研究にもなります。なお、ネガプリントで補正出来る範囲はYMC(イエロー、マゼンダ、シアン、)のカラーバランスと濃度変化だけで、デジタルのカラー処理の様に、彩度、コントラスト、シャープなどはフィルム自体の性能と撮影条件に起因するし、その他の特殊処理が出来るわけでは有りませんので、念のため。

現像に関しては、ポジもネガも多少の処理のバラツキがどうしても有り、ポジの場合は特にプロの写真家にとって、最も神経質になる問題で、撮影の失敗はもとより、この現像のブレが命取りになるケースも起こりえる為、複数カット撮影して試し現像するか、一発勝負で祈る思いで現像結果を待つ事になるが、ネガの場合はこの多少のバラツキ程度はプリントで補正出来る。


写真館のスタジオでの人物の記念撮影にはネガフィルムを常識的に使う理由には、最終目的プリントである為、人物の特に肌の色を微妙にグラデーション豊かに再現・補正出来ると言う理由以外に、撮り直す事など出来ない失敗が許されない撮影環境である事も大きな理由です。一生に1度の撮影機会をポジフィルムで、室内の人工照明で撮るには不安があります。
         
多くのと言うかほとんどのアマチュア写真ファンが誤解しているのも、ネガフィルムの各店毎でのプリント結果を見て撮影の良否を判断したり、店のプリントの上手、下手を判断しているようですが、何度も繰り返しますが、プリントの結果は撮影のミスが無い限り、そのフィルムのプリントの一例にすぎないと言う事をまず理解して下さい。赤く焼けたプリントも青くも焼けるし、薄いぼやけたプリントも濃く鮮明に焼けるかも知れませんので、過去のプリントを見直してみて下さい。思ったより赤くならなかった夕日の風景なら、もう1度プリント依頼時にそのように依頼されれば、真っ赤な夕日が再現出来るでしょう。
もっともピンボケやブレた写真は救済不能ですので、この点は特に注意しましょう。ネガプリントはそれを処理するオペレーターとの信頼、意思の疎通が出来れば、銀塩ペーパーでのプリントに勝る最高の画像、画質を得る方法は外にありません。いい写真を撮って、いいプリントを得られる事を願っております。

  後書き(2005年3月3日)

以上は記載が2001年ですが、その後ラボ業界もデジタル対応が進み、現在ではほとんどの写真店のプリント処理機械は従来のアナログ湿式機械は無くなり、デジタルプリントに置き換わっています。どう変ったといいますと、たとへばネガフィルムの場合、現像処理は従来通り湿式機械ですが、プリントの場合は従来ネガフィルムに直接光を当てて銀塩ペーパーに焼き付けていましたが、現在はフィルム情報をデジタルデータに置き換えてのデジタルプリントとなっています。
スキャナーは勿論業務用ですから高性能であろうし、ペーパーも銀塩ペーパーですから、退色性・発色も家庭用自家処理でのインクジェットよりは勿論高品質でありましょうが、アナログ写真システムに拘って来た者にとってはやはり一抹の寂しさを感じますね。
アナログ銀塩プリント処理は外注での四ツ切以上の手焼きプリントで対応出来ていますが、メーカー基幹ラボがいつまで対応出来るか?早晩銀塩フィルムの大伸ばしプリントもすべてデジタルにということになるかも知れません。
35mmフィルムでの四ツ切(254×305mm)程度のデジタルプリントででも充分満足な品質が出ていますので、銀塩フィルムもまだまだ頑張っています。